thermos
ミハエルは焦っていた。

主のあの殺気、ユサを無傷で奪還しないと自分が殺されそうな感じだった。


場所は分かっている、ミハエルは足を早めた。


*********

由沙は闇の中にいた、手足は拘束され、身動きが取れない。

先程から何人?かの人が由沙を舐めるように見ていた。


「こいつら、人間じゃない」

と小さく呟くも由沙にはこの現状を変える力は持っていなかった。

きつく唇を噛み締める、僅かに鉄の味がした。



その瞬間周りからはドッと歓声があがった。


《やはりこいつはミュンだ、なんとも美味しそうな臭い》

《本当に飲んでもいいんだな?》

一人が確かめた。

一番奥に居る奴が頷くと、由沙の服は無造作に破られら幾つもの牙が由沙の白い肌に食い込んだ。





パリッン――――


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