thermos
由沙は目が覚めると見知らぬ天井が目に入り戸惑った。

辺りを見回すと、高級そうな家具たち、自分を見れば昨日着ていた服ではなくネグリジェを着ていてさらに戸惑った。


あいにくこの部屋の主はいないらしく部屋の中は自分が寝ているベットだけと、閑散とした部屋だった。

由沙は起き上がろうと体を起こすも、頭痛がし体はふらふらするため断念した。
「せめて、誰か来ればなぁ」

と一人呟くも帰ってくるのは、うるさい位の静寂だけだった。


――コンコン

不意にドアが叩かれた。

失礼します、と優雅に入って来たのはユエだったが、由沙はユエを知らなかった。


由沙はビクッとし両手で肩を抱いてガタガタと振るえ始めた、昨日の事を思い出したのである。


ユエは少しだけ眉間に皺を寄せ
《私はキングロス様の使い魔みたいな者でございます由沙様》

と頭を下げた。

――ガチャ
今度はノックも無しにドアが開き由沙は跳びはねた。



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