ambivalence―アンビバレンス―
入学式
その日は何故か、早く目が覚めた。昨夜は夜中まで起きていたというのに。
目覚ましが鳴る前に自然と目が覚め、頭は冴えざえとしていた。
特に何があるわけでもない。

たかが、高校の入学式があるというだけなのに。

別に期待なんてしているわけもなかった。中学の時の入学式だって、興味がないから出なかったし、卒業式の時も、みんなが校歌や仰げば尊しなんかを泣きながら歌っている横で、私だけ口パクすらしていなかったし。
形式的にお膳立てされた学校の行事なんかで感動なんてしなかったし、してたまるかと思った。
ひねくれた性格だとは思う。

けれど、そんな考え方をしてしまうのだから、仕方がない。

私にとって、学校という場所は、大人が都合よく子供達を管理する為に作った掃き溜めのようなものであり、その中でどうあがこうが、所詮そこで培ったものなんて、仮初めの薄っぺらい価値にしかならない。
本物じゃない。

私達は操られているだけだ。
大人達が周到に用意した汚い檻の中で、恋だの友情だの倫理だのほざいたって、単に大人の思うツボになるだけなんだ。
くだらない。
そんなのアホらしい。

誰が思い通りになんてなってやるもんか。




そんな風に思っていた。
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