俺のココ、あいてるけど。
 
「アホか、俺は・・・・」


そして、俺は何度、こうして反省したことだろう。

いちいち数えてはいないが、たぶん20回近くはこうしているはず。

俺の勘だ。


接点を増やそう、共通の話題を話そう、近づこう・・・・。

そう思って精一杯の努力を俺なりにしてはいるが、なかなか距離が縮まらない。

むしろ、少し離れたように思う。

・・・・洗濯物の話をしたからだ。


「何やってんだ、俺は。もういい歳の大人じゃねぇか。・・・・ガキ」


顔を真っ赤にして事務所を飛び出していった長澤を思い出すと、どうにもこうにもやるせない気持ちになる。

本当、情けない・・・・。


でも、もっと情けないのは、気持ちを隠したまま“社員同士”の関係を保とうとしているところ。

長澤は麻紀とは違う・・・・そう思っても、一歩を踏み出す勇気が持てないところだ。


「はぁ──・・」


最近はため息の回数も増えた。

傷つけてしまうのなら、辛い思いをさせてしまうのなら・・・・。

微妙な距離のままが一番いいのかもしれない。
 

< 143 / 483 >

この作品をシェア

pagetop