俺のココ、あいてるけど。
 
カエル・・・・。

しかも瀕死・・・・。

店長の言葉のチョイスは、いつもだいたい普通の人と少し違う。


「瀕死のカエル・・・・ですか」

「そうなんだよ。こう、テーブルにびたーっとなって、動かない」


店長は自分の机に突っ伏して、長澤の真似をして見せた。

それにどうにも笑いそうになる俺は、ひどい男なのかもしれない。

少なくともその原因の半分は、ここにいる俺だというのに・・・・。


「また倒れてしまうんじゃないかと心配なんだが、なかなか話しかけられる雰囲気でもなくてな」


体を起こした店長は、そう言ってまた、顎を撫でた。

聞こえは悪いが、店長は明るい性格だけが取り柄のような人だ。

梅村綾の噂話のときも、その明るさで「大丈夫だ」と言ってくれたおかげでずいぶん助けられた。


その店長が話しかけられないとなると、瀕死のカエルもあながち嘘ではなさそうだった。

何より、綺麗に剃られたひげを、さぞ伸ばしているかのように撫でる仕草をするのは・・・・。

相当心配していて、動揺もしているということだ。
 

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