俺のココ、あいてるけど。
 
すると───・・。


「キャッ!登坂さん、髪の毛焦げてますよっ!!」


・・・・なに!?


「煙草の火!早く消してっ!」

「お、おぉ!」


と返事をするより早く・・・・チリ、チリチリ。嘘!? マジかよ!?

慌てて灰皿に煙草を投げ捨てたはいいものの、どうやら俺は、物思いにふけりすぎてただでさえ短い髪を焦がしてしまったらしい。

焦げた匂いまで・・・・。

最悪だ。


「大丈夫ですか!? 頭、熱くないですか?」

「あ、あぁ・・・・長澤か。助かったよ、サンキューな」

「いえ・・・・」


俺の頭が火事になるのを防いでくれたのは長澤だった。

見ると手にゴミ袋を持っていて、どうやら灰皿の掃除をしに来たときにたまたま見つけたようだ。


「無事ならいいんですけど・・・・登坂さん、なんだかぼーっとして。どうしたんですか?」


焦げた部分をさすりながら苦笑いの俺に、すごく心配そうな目をして長澤は聞く。


「いや、別に」


そう答えてしまう俺は、かなりの見栄っ張りなのだろうか。
 

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