スリー・イヤーズ・カタルシス
彼女の言葉と泣き声に
おれの心も悲痛に沈んだ。
なんてこと
言ってしまったんだろう。
どこもかしこも
痛いに決まってるじゃないか。
自分の馬鹿さ加減が
このときほどうらめしいことはなかった。
おれは
黙って背中を向けたまま
彼女の泣き声をずっと聞いていた。
「ごめん……」
なぜ?彼女があやまる?
「あなたが何かしたわけじゃないのにね……」
いやもう
自分が男であるということ自体が
罪深いような気がしているよ。
「そっち……行ってもいい?」
おれはその言葉におどろいて
半分だけ彼女の方へ首を向けた。
でもまたすぐに
自分のひざに首を埋めて
「うん」
とだけ言った。