スリー・イヤーズ・カタルシス
「迎えに来て。場所は……」
彼女は静かな声で
電話の相手に
ここの場所を指示していた。
彼女の声は弱かったけど
言葉は命令口調だった。
電話に出たコレノリという男の人は
絶対におれよりも年上だと思う。
その人に命令口調で話すなんて
しかも迎えに来いだなんて
一体彼女は何者なんだろうと
不思議になった。
電話をする間も
彼女はおれの背中に
頭をつけていて
彼女の声の振動が
おれの背骨に伝わってきて
すこし心地よかった。