スリー・イヤーズ・カタルシス
やがて
ビルのすき間の外に
重たいシルバーの車がとまるのが見えた。
中から
黒いスーツを着た
男の人が出てきた。
まるでジョージ・クルーニーみたいなおじさんだった。
サヤカちゃんは
そのおじさんに
「こちらはお客様、野谷マサキさん。昨日あぶないところを助けていただいたの」
と言った。
あぶないところを助けた?
嘘だ……
でもきっと
サヤカちゃんにとって
それは必要な嘘なのだろう。
シルバーの車はベントレーだった。
革張りの後部座席は
とても座り心地がいい。
サヤカちゃんは
座席前のポケットから
ポーチを取り出して
錠剤とアイマスクをおれに手渡す。