スリー・イヤーズ・カタルシス



ひとしきり泣いていたサヤカちゃんが



手で涙をふきながら



「ごめんなさい……泣いてばかりで……」



と言う。



たのむから



もう



謝らないでくれとおれは思った。





それにしても



おれとサヤカちゃんは




さっきからずっと



正座をつづけたままだった。



固いコンクリートの上で



おれのひざが悲鳴をあげている。



「足をくずしませんか?」



とおれが言ってみたら



「そうよね」



と彼女も同意してくれた。



どちらからともなく



正座していた足を



ななめにくずした。



せき止められていた血の流れが



どっと



足に流れ込んで行くのがわかる。



それと同時に



とんでもないしびれが



おれの足を襲ったので



おれは足を中途半端にくずしたままの



情けない格好で



思わず



「ぐわあ……!」



と声を上げてしまった。



そんなおれを見て



サヤカちゃんが



くすくすと



笑ってくれた。



それは



おれが初めて見る



サヤカちゃんの笑顔だった。







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