スリー・イヤーズ・カタルシス
車は
中庭の池をめぐって
建物の正面に横付けされる。
車を降りると
おれは思い切り伸びをした。
吸い込む空気は
ほんわりといい香りがする。
何かの花の匂いだろうか
目の前には屋根付きの長い廊下がある。
ここが建物の入り口のように思ったが
扉やドアのようなものはなかった。
「ここで靴を脱いでね」
サヤカちゃんは
すでに靴を脱いで廊下に上がっていた。
おれがそこの廊下に立つと
サヤカちゃんは
「ようこそいらっしゃいました」
と笑顔でおれの手を引き
廊下を歩き出した。
それが
その屋敷での生活の
はじまりだった。
