スリー・イヤーズ・カタルシス
しかし
とにかく助けてあげないといけない
と思ったから
なるべくおだやかな声で
「大丈夫ですか」
と声をかけた。
今思えば
まったくまぬけな話だよ。
服をぼろぼろにされて
闇の中にうずくまっている少女が
大丈夫な世界があるものか。
少女は小刻みに体を震わせて
返事をしなかった
無理もないことだ。
おれは
「ここで待っててください。服を持ってきます」
と言って
そのビルのすき間を出て
走り出した。
戻ってきたときに
彼女がいなくなっていたら
どうしようと思ったから
おれは全力で走った。
24時間営業の
ドンキホーテに駆け込んで
スウェットの上下を買った。
こうやって言ってしまえば
簡単なように思うかもしれないが
本当はすごく大変だったんだ。