年上彼氏*短編*
涙が出そうなのを必死に堪えて仁逹に向かって走り出した。
「仁!」
私の声に振り返った仁はバツの悪そうな顔をした。
「ねぇどうゆうこと?」
「………」
仁はうつむいたまま何も言わない。
隣の女の人がニヤニヤ笑っている。
「私と、別れたいの?」
「…ちがっ」
「もういい!」
バックにつけられた仁とお揃いのキーホルダーを引きちぎって仁に投げた。
「さよなら」
そう言って走った。
それから暫く走って後ろに振り向く。
もしかしたら追いかけて来てくれるという淡い期待を込めて。
でもそこに仁は居なかった。