年上彼氏*短編*



涙が出そうなのを必死に堪えて仁逹に向かって走り出した。


「仁!」


私の声に振り返った仁はバツの悪そうな顔をした。


「ねぇどうゆうこと?」


「………」


仁はうつむいたまま何も言わない。


隣の女の人がニヤニヤ笑っている。



「私と、別れたいの?」


「…ちがっ」

「もういい!」


バックにつけられた仁とお揃いのキーホルダーを引きちぎって仁に投げた。


「さよなら」


そう言って走った。





それから暫く走って後ろに振り向く。


もしかしたら追いかけて来てくれるという淡い期待を込めて。


でもそこに仁は居なかった。



< 10 / 18 >

この作品をシェア

pagetop