きっとここで君に出会うために
「響」
そっとあたしの名前を呟いて近寄ってくる。
「ごめんね」
あたしの頬に触れて、あたしの目を見てくれる。
「お母さん、駄目な母親だったね」
近くで見るとちょっと目が赤い。
泣いたんだろうか。
「お母さん、本当は少し気づいてたの。でも認めたくなくて、そのせいで響のこと傷つけちゃって‥‥」
最後のほうは嗚咽で上手く聞こえなかった。
ただ、お母さんがちゃんと思い出してくれたんだってことだけはわかった。
ごめんねって何度も繰り返してあたしを抱きしめてくれた。
ずっとしてほしかったこと。
その温もりを今感じることが出来た。