きっとここで君に出会うために



「あたしも隣にいたい。隣にいて」


そう言うとギュッと抱きしめられた。


冷たいあたしの体を包みこむように。



「わっ」


急にふわっとして、抱き上げられたんだってわかった。



「ずっと隣にいる」


言葉が出てこなくて、

ただひたすら頷いていた。



それを見たら嬉しそうに一度頷いて、

そっとあたしを降ろした。



「キスしてもいい?」


頷く前にそっと顔が近づいてきて、

触れるだけの優しいキスをした。



顔を見ようとしたらまた抱きしめられて見ることが出来なかった。


「見ないで。俺今顔赤い気がする」


暗くてそんなのわかんないのに。


そう思ったけど、

そんなところも愛しいと思った。


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