きっとここで君に出会うために



「俺、りくとっていうの。陸に人って書いて陸人。君の名前は?」


「‥‥響」


「響ちゃんかぁ。可愛いね」



無意識に名前を言ってしまった。


何初対面の人に名前教えてんだあたし。



心の中で自分に悪態をついてみた。




まぁ、今更仕方ない。


「いつも聞いてたんだよ」


「いつも?」


私がここにいるときに人が来たことなんてないのに。


どこで聞いてたんだ?



「そー。って言っても通り過ぎるときにちょっと聞いてただけだけどね」



そういうことね。



「でもさぁ、響ちゃんの歌って綺麗だよね」



「綺麗?」



「そう綺麗」





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