きっとここで君に出会うために



それから一週間、毎日当たり前のようにあいつの前で歌った。


なんか当たり前だと思うことが心地よくて、

いつの間にかこの時間だけは孤独感を感じなくなっていた。




「明日から暖かくなるまで歌わないから」


一週間目の帰り道、あたしが言ったらあいつは一瞬寂しそうな顔をした。


あぁ、そんな顔しないでほしい。



「じゃあ、たまに会いに行ってもいー?」


「会いに?」


「そー。だって暖かくなるまで会えないなんて寂しいじゃん」


ニカッと笑ってあたしの手を握る力を強めた。



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