きっとここで君に出会うために



「家知ってるしさー、たまに会いに行ってもいー?」


まるで子犬のような目で見られたら断れないじゃん。



あたしはただ黙って頷いた。


本当はちょっとだけ、ほんのちょっとだけあたしも会いたかった。


久しぶりに寂しいって思った。



そういう気持ちは心の奥に閉じ込めておこうとしてた。


感じないよう、感じないよう、そうやってきた。



そう思っていることが間違いだなんて思わなかったし、

それが苦痛だなんて思ったことはなかった。


それなのに、今は自然と寂しいと思った。


もっと近づきたいって、

自分の気持ちがどんどん溢れてくる。


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