ストロング・マン



こんなの、ずるい。告白しようとしていたのは私なのに、先に言うなんて。

でも、


「私も、好きだよ。」


言った瞬間顔に熱が集まるのを感じて、隠すために修也の胸の中に顔を埋めた。元々友達だったこともあって、自分の照れてる姿をさらすことが今更だけどちょっと恥ずかしい。


「郁、顔上げて。」


ちょっと、わざと言ってるでしょ。私が照れくさくて顔を上げられないこと見越して言ってるんだ、こいつは。
ほんと、勘が良くて意地が悪いやつ。まあ、そんなところも好きかなって思っちゃうから重症なんだろうけどね。

自分を鼓舞して頑張って顔を上げてみると、修也がとても優しい瞳で私をみてた。
その瞳から私のことが好きなんだよっていうのが溢れてきている気がして。私の目からまた、涙が零れた。
修也の瞳を見ていると自分が特別な何かになれたような気にさえなる。



修也の顔がゆっくり近づいてくるのを見て、私は静かに瞼を閉じた。




一度触れた唇はすぐに離れて、またすぐに触れた。今度は角度を変えてさっきよりもすこし深く。
ただ触れているだけなのにとろけそうで、もっと、と思ってしまう。






名残惜しそうに離れた修也は私を一度ギュッとした後、


「大事にする。」


って言ってくれた。お母さんが笑ってくれている気がした。












fin









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