粉雪
「…隼人…」


手紙を抱き締めるようにして、隼人の名前を呼び続けた。



あぁ、あたしは…


こんなにも隼人に愛されていたんだね…




“ごめんな、ちーちゃん”


“ありがとな、ちーちゃん”



隼人は、いつも優しく言ってくれたね。



こんなに愛してたのに、何で死んじゃったの…?


あたしを残して逝かないで…






『…隼人さんは、アンタの代わりに死ねて、多分幸せだったと思うよ。
アンタを責めるような人じゃねぇから…。』


「―――ッ!」


マツの言葉に、また涙が溢れた。


いっそ、“アンタの所為だ”って言ってくれたら、どんなに楽だっただろう。


苦しくて仕方がなかった。


だけど多分、隼人は“ちーちゃんは何も悪くない”って言うんだろうね。


それがわかってるから、余計に辛いんだ。




「…マツ。
あたしを抱いてよ!!」


『アンタ、何言ってんだよ?!』


「…そしたら隼人は…あたしを怒りに来てくれる…。
何でも良いから隼人に会いたいんだよ!!」


ただ、声を上げることしか出来なくて。



『…出来る訳…ねぇだろ?!
他の男のこと考えてるヤツなんか抱けるかよ!』


そしてマツは、唇を噛み締めて。



『…第一、俺があの世に行ったら、また殴られそうだから。』


「―――ッ!」


悲しい目をして言うマツに、何も言えなくなった。




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