粉雪
『―――ちーちゃん、誕生日いつ?
聞き忘れてたし!(笑)』


「成人式がある日。」


『そうなん?!もーすぐじゃん!!
絶対、バイト休んどけよ?』


「…うん。」



またプレゼントがあるのかなぁ?


隼人のそーゆーとこは、あんまり好きじゃないのに。



隼人はあたしに、“愛すること”を教えてくれた。


だから、それだけで良かったんだ。


だけど、その所為で苦しくなった。


クリスマスも、誕生日も、大嫌いだよ。


だって、隼人はいないじゃん…。


約束したのに…。



あたしはこれから、どこに帰れば良いの?


あたしの帰る場所だって、隼人のところしかないんだよ?


やっぱりあたし達は、出会わなければ良かったんだね。


でも、そんなことに気付けなかった。


気付いてれば、良かったのにね…。



『てか、俺んち来るんだし、1月イッパイで仕事一つ辞めとけよ!
で、教習通えばいいじゃん!(笑)』


ファミレスで、あたしのハンバーグを勝手に取った隼人は、

思いついたままに口を開いた。



「ちょっと待ってよ!
勝手に決めないでよ!」



あたしはまだ、何の答えも出してないのに…!


驚いたように声を上げるあたしにお構いナシに、隼人は笑顔を向ける。



『金ないんなら、出すし!
何かあった時の為にも、ちーちゃんも免許いるっしょ?』


「…そりゃ、そーだけど…」



“何かあったら”なんて、縁起でもないこと言わないで欲しい。



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