粉雪
『…どーすんの?』


「―――ッ!」


何度目かの煙を吐き出した後、隼人はゆっくりと口を開く。



「…あたしは、産みたい…」


心臓が早くなり、脂汗が背中を伝った。



『…そっか。』


瞬間、顔を上げたあたしを見ることもなく、隼人は言葉を投げる。


喜びも悲しみもせず、冷たい目をして笑うこともなく。



『なら、もぉ別れよう。』


「―――ッ!」


何を言われているのかわからなかった。


覚悟していたはずなのに、その言葉の意味さえも理解出来ない。



「…何で…?」


その言葉に、全身の血液が逆流でもしているように感じてしまう。


声が震えて、胸が締め付けられて。


こんなこと言われてるんなんて、信じられなかった。


信じたくなかった。


だけど隼人は、次の言葉を投げる。


まるでとどめを刺すように、あたしの心をえぐる。



『…ガキは、邪魔なんだよ。
産みたいなら、勝手にしてくれればいい。
金が欲しいんだったら、好きなだけやるから。』


「―――ッ!」


仕事の時と同じ顔で冷酷に話す隼人に、言葉を失った。


隼人はあたしに、こんなこと言わない。


いつもあたしに優しくて。


いつもあたしの前で笑っててくれて。




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