もう一度君に会いたい




―――…
俺は今、自販機をさがして走っていた。

本人はいらなくても、何か飲んだ方がいい、と思ったからだ。


『ハ、ハァッ…ハァハァ。
たくッ、広すぎだろ…。』

しかし、いくらさがしても自販機が見つからない。

俺は髪を掻き上げながら走りを再開した。



――
『あッたぁぁ!』

あれから数分後、俺はやっと見つけた自販機を前に、人目を気にせず叫んでいた。

『はぁ…。
自販機の数増やせよ…。』

俺は自販機を見ながらそう、呟いた。

『まぁ!とにかく、早く買わなきゃな。』

そして俺は財布からお金を出して入れた。

『え~と…、雪波って何が好きなんだ?』



……今になって何の考えも無しに動いた自分に後悔した。


『後悔しても遅いッ! 何でもいいから買ってくか…。』

そう言って俺は、この中で一番、飲みやすそうなグレープフルーツ味のジュースを選んだ。




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