桃色の1ページ





* * *





「うわあ〜」


あまりにも桜が綺麗すぎて。



「ねぇ見てー!!」


小学校の帰り道に、よく寄り道してたっけ。



「そんなに騒ぐなよ」


って、あいつは呆れてたくせに。




「ここ、俺らの隠れ家にしよーぜ!!」


なんて、結局は無邪気に笑ってた。





* * *





「お姉ちゃん、ボール取ってー!」


「え?」



離れた場所から聞こえた声に、あたしは足もとを見る。





転がってくるボール。



何も言わずに投げ返すと、幼い男の子は嬉しそうに言う。



「ありがとーっ」



あの笑顔、あいつに似てる。





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