桃色の1ページ



なんだか懐かしいな。



きっと、赤信号に引っかかったのも縁があったからだよね。





ちょこっとだけ、思い出に浸ってみよう。



公園のベンチに座って、瞳を閉じた。





* * *





「見て見てー!

おっきい木だよお」


「ゆめ、さっきから騒ぎすぎだってば」


「だってえ〜」





桜の木を見て、はしゃいだあの頃。


今は無くなってしまった、あの桜の木の下。




あの場所が、あたしの初恋の始まりだったんだ。





拗ねてほっぺを膨らましたあたし。


そんなあたしの頭を、ポンと叩くあいつ。





「ゆめはホントに小さいな」


悪戯な笑顔が、愛しく思えた。




「いつか、もっと大きくなるもん」


必死に反抗して。




でも、やっぱり、あたしのほうが身長は低いままだった。





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