続〃ねこ笛日記
いつかね、ハチのことを… たいへんって、言ったでしょ!


去年の夏、タロウちゃんが、ハチに刺されて…


頭がボ-ルみたいに、膨らんでしまった。


その時は、もう死ぬかも 知れないと思ったの…


だってね、タロウちゃんは一日じゅう、松の木の根元に、じっと座ったままだったから…


母さんが、心配してくれて お薬をタロウちゃんの口に入れた…


「タロウちゃん!
お水は飲まないと…
だめよ!」


そう言うと、水を入れた入れ物をタロウちゃんの足元に置いてくれた…


そのタロウちゃんは、しばらくしたら、元気になっていたのだけれど…


その年の冬には、姿を 消してしまった…


人間の母さんはこう言った。

「タロウちゃん!
ごめんね…
家に引き取って…
やれなくて、許してね」

「もう、山の猫なんかに 生まれたらあかんよ〃」

「小鳥になって…
空を飛ぶのよ!
あの空をね…」


どうやら、母さんはタロウちゃんが、死んでしまったと、思っているみたい…


〃母さん、タロウちゃんは 生きてるわ…
どこかへ行ってしまった けど、きっと生きてるわ〃

でも、母さんには…
ナナミの言っていることが わからないみたい…


タロウちゃんのことを…
思って泣いている…


母さんの涙、ポロンポロンと、ほっぺを転んで落ちた…

私、なぜかタロウ兄ちゃんのこと、会いたくなったの!

母さんはタロウ兄ちゃんは死んだと思っているでしょ。

会って確かめたくなったわ…

ああ、なぜかねえ~

どこにいるの!
タロウ兄ちゃ~ん〃
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