好きだから、別れよう。





パレードが終わり、乗り込んだ帰りの車の中で、マサキさんは心配そうに私の顔を覗き込んだ。



「アヤ…大丈夫?嫌だった?」



マサキさんが不安になるのも仕方ないと思う。



というのは…



私が、ずっとマサキさんを見ようとしないから。










……見ようとしないって言うか…

…見れないんだ。



恥ずかしくて。








人生で初めてのキス。



マサキさんはそっと優しく、私の唇に触れた。



パレードの音が鳴り響いていたはずなのに、その瞬間だけは何も聞こえなくなって、





唇が離れるときの『チュッ』って音で急に現実に戻り、

一気に恥ずかしさが込み上げてきた。









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