好きだから、別れよう。



「やー、楽しみだねぇ!マサキさんってどんな人だろ?ヤバい、惚れちゃうかも」



マックを出て駅まで一緒に歩きながら、リカコは自分の頬を押さえながら甘いため息をつく。



「えっ!?や、ちょっ…リカコにはシンヤさんがいるでしょっ!マサキさんは私の…か、彼氏だもん……」



自分で言っておきながら、顔と身体が火照るのがわかった。



そんな私の反応を見て、リカコはニヤニヤと口元を緩ませる。



「へぇ〜。アヤも言うようになったねぇ!大丈夫、あたしはシンヤ一筋だから。アヤにだってシンヤは渡さないからね」



「わ、私だってマサキさんはリカコには渡さないもん」



「あははは!『渡す・渡さない』って…なんか物みたい!こんな言い方して、シンヤとマサキさんに怒られちゃうね」



私とリカコは声をあげて笑って、笑いすぎて潤んだ目で空を見上げた。





まだ昼間の白い月。





私たちを歓迎するように、細い三日月が揺れて見えた。







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