【企】逆ホワイトデー
「ごめんね、ハチくん」
背中で申し訳なさそうに謝る美崎
『ハチでいいよ』
俺はそれだけ答え、保健室まで歩く。
「私のせいで…遅刻、しちゃったよね?」
『もともと、遅刻だったし、全然気にしてないよ』
なんて澄まし顔。
でも、まあ事実だし。
もともと俺、遅刻だったからな。
今さらもっと遅れようが遅刻には変わりない。
『足、大丈夫か?』
階段を慎重に降りながら聞く。
「うん。ちょっと痛むけど」
他愛もない話をしているともう目の前は保健室で。
きっと、この先学校1の美少女美崎とこんなにも話すことはないだろう。
少し、名残惜しかったが保健室のイスに座らせ俺は立ち上がる。
『じゃ、お大事に』
俺はそれだけ言って保健室を出ようとした。
だが、
「あ、ハチ!」
その声に足を止めた。
ってかハチって呼んでくれた。
ただそれだけのことが嬉しかった。
「あ…ありがとね!」
照れくさそうに微笑んだ彼女。
その笑顔は太陽よりも
まぶしかった…