好きじゃないから
「初めまして。えっと、まず俺の名前は葉逆貴夜(ハサカ キヨ)といいます」
新学期最初のHRまであと5分。
隣の席の彼は、先ほどの言葉に繋げるようにまず、自分の名前を名乗った。
にこりとやはり笑って
「あっ、葉逆くん、初めまして。私は…」
その大人びた顔立ちと敬語に、何故か自然と自分も敬語になってしまった。
同級生なのに…
それでも、次は自分の番だと名前を名乗ろうとした。
けれど
ガラリと音がして、教室のドアが開いた。
皆、それが担任の教師だったと思ったに違いない
しかし、そこに立っていたのは普通にクラスの男子だった。
しん、と静まりかえってしまった教室。
正直私も言葉を失ってしまっていた。