先生

文化祭も終わり、彩花は佐恵子達と教室へ向かった。
気持ちは沈んだまま。


足取りは重い。


そんな時、どこからかあの声が聞こえてきた。
大好きで大好きでいつも探している声。
でも、そのあと聞こえてきた声に、彩花の表情は固まった。

「お疲れー」
「あ！先生っ!めっちゃ緊張したわあ」
「神田歌うまいな」
「え〜、そんなことないしなあ〜」
「ていうか、俺あの歌すごい好きやわ」
「えっ!先生あの曲知ってるん？なんか意外〜」
「あれめっちゃええ歌やんな」


美羽が先生を想って歌った曲が、偶然にも先生が好きな曲で。
歌っている時の美羽の気持ちと、その曲を聴いていた時の先生の気持ちを考えると、切なくなった。





あぁ、そっか。
あたしに入る隙間なんて、、、ないんだ。