先生
彩花達の学校の校長はとにかく話が長くて、短くても15分は喋る。
そんな校長に全校生徒、そして先生達までうんざりしていた。


彩花は小さくあくびをすると、横目で大好きなあの人を見た。
先生は一年生の担当だから、三年生の彩花達からは一番遠いところにいる。

彩花は目が悪いし、先生の表情なんてまったく見えないけど、先生の姿を見られただけですごく嬉しかった。

先生、こっちむいてっっっ
そんな念力を送っていたときだった。

「一ノ瀬」
彩花は慌てて声がしたほうを見た。
担任の吉村先生が眉間に皺を寄せて彩花を見ている。
彩花は苦笑いをして前を見た。でも、その視線は徐々に下がっていって、彼女はいつの間にかウトウトとしていた。





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