先生
しばらくして、彩花はハッとして顔をあげた。
まだ校長はしゃべっていた。

いつまでしゃべる気なんだろ。
空気読めっつーの。

まわりを見渡せば、うつむいている人や寝ている人、手をいじってる人、誰一人校長の話なんて聞いていない。
こんな状態なのに、校長は気付いてないのかな。
それとも、ただ自分が一方的に話をするだけで満足なのかな。

そんなことを考えていたら、やっと校長の話が終わったみたいだ。時計を見ると3時40分をさしている。校長は20分も喋っていた。
彩夏はため息をつかながら時計から視線をずらして、西本先生を見た。
先生は誰にもばれないように、小さくあくびをしていた。
そんな姿を見て、彩夏の頬はまた緩んだ。


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