先生
「え!?先生もう出張から帰ってきたん!?」
言ってから後悔しても遅い。
なんで自分は、もっと可愛く素直に喜びを伝えられないんだろう。
「なんやねん!帰ってきたら困るんかっ!(笑)」
「そ、そんなことないけど、、、」
彩花は俯いて答えた。
我ながら自分の可愛げの無さにため息が出る。
もっと素直に「先生に会いたかった」とか「先生がいなくて寂しかった」って言えないんだろう。

「んなことより、彩花、ちょっと話あるんやわ。5分もかからんし、友達おってもいいからちょっといいか?」
先生の、友達もいていいからって言葉に少しがっかりした。

二人きりじゃないんだ。

「わかったー。何の話ですかー??」
そう言って彩花が階段を降りた時だった。
「あ!あたし教室に忘れ物したぁ〜。由香里、佐恵子、ちょっとついてきて〜。ごめんな彩花、一緒に話きけやんわ。」
そう言って百果は彩花に微笑むと、由香里と佐恵子をつれて階段を上がっていってしまった。
「ちょっ、百果?」
もしかしてっていうか、絶対気使ってくれたよね、百果。

「彩花、話っていうのはバレーのことなんやけど」
百果に感謝しながら、彩花は先生のもとへ駆け寄った。
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