先生
「じゃあ、連絡はこれだけかな。」
先生の言葉に、素早く学級委員が号令をかけた。
「起立、礼」
彩花は顔をあげると、時計を見た。
3時50分。
西本先生は、今日は出張で朝から学校にいなかった。だから彩花は今日一回も先生の声も聞いていないし、姿も見ていない。

先生まだ帰ってきてないかな、、、。

先生に1日でも会えない日があったら、かなり落ち込む。
土日は仕方がないけど、学校にきているのに先生に会えないのは辛かった。

力なく鞄を手にとると、先に廊下で待つ佐恵子と由香里と百果の所へ肩を落としたまま行った。

「彩花どしたーん?元気ないっていうか、暗いオーラでてるでー」
由香里が心配そうに顔を覗き込んだ。
彩花は慌てて笑顔を作る。
「元気やで(笑)ただ、明日から始まる面接練習嫌やなあって思ってさぁー」
彩花はわざとらしく嫌な顔をした。
「わかるー。めっちゃ嫌やんなあ。藤枝先生進路指導やし、明日の練習絶対いるよなあ、、、。あの人怖いし嫌やあ」

四人でワイワイと明日のことについて話しながら階段を降りているときだった。


「あ!彩花、ちょっと」

階段の下で、彩花を呼んだのは西本先生だった。
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