先生
バレンタインデー当日。

彩花はいつもより早く起きた。
昨日徹夜をしたからフラフラ。
でも、そんなことかまってられない。
いつもよりも念入りに用意をする。

そして、ラッピングが崩れないように、チョコレートを鞄に入れる。
鞄に入っているチョコレートを見ると、

あたし今日渡すんだ、、、。

なんて考えて、緊張が増してしまう。

彩花は今まで毎年、バレンタインにはちゃんと本命がいて、チョコレートを渡してきた。
でも、自分で直接相手に渡すのは初めてだった。
今まで、いつも渡す直前で気持ちがダメになり、友達に渡してもらってきた。
でも、今年は違う。
先生への想いは今まで好きになった人たちへの想いとは違う。
本物の好き。


深呼吸をすると、彩花は家を出た。





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