名も無き愛の物語
ボクの秘密
「ボク どうしてこんなにもみんなと違うんだろう…」

みんなと一緒に葉っぱを食べていた 1匹のイモムシがこうつぶやきました

このイモムシは どことなくみんなとちがっていました

ちがっているといっても 見た目は他のイモムシと何一つかわりありません

このイモムシには誰もいえない秘密があったのです

「ボクは他のみんなが考えないようなことをいつも考えている… 考えても無駄だってわかってるのに」

いつか誰かに話してみたい 僕だけがこんなことを考えているのか聞いてみたい

でもなかなかできませんでした

そんなことを考えているなんて みんなに知られるのが たまらなく嫌だったからです


それにみんなに知られたら 変なやつだと仲間はずれにされて ひとりぼっちになるのが怖かったからです

「みんなと同じように、ただ葉っぱのことだけ考えてればいいんだ

 変なやつだと思われて仲間はずれにされたら大変だ

 だってひとりぼっちでいたら たちまち鳥に食べられてしまうもの…」

そういうわけでこの臆病なイモムシは いつもみんなと一緒にいました



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