名も無き愛の物語
食べられたほうがまし
ある日 ひとりぼっちのイモムシが いつものようにひとりで葉っぱを食べていました

すると一羽の鳥が ものすごいスピードで急降下してくることに気づきました

「ああ・・やっと鳥に食べてもらえるんだわ
 これで惨めな自分とサヨナラできる・・」

しかし鳥が狙っていたのはこのイモムシではありませんでした

ひとりぼっちのイモムシも狙われているのは自分ではないことに気づきました

大きく息を吸い込むんで 自分の体をボールのように膨らますと
鳥に狙われていたイモムシのところに コロコロと転がって行きました

転がってきたイモムシのあまりに不気味な姿と強烈な臭いに驚いて 鳥はすぐさま飛び去っていきました

「助けてくれてありがとう 考えごとをしてたら仲間とはぐれてしまったんだ」

助けられたイモムシはそう言いました。

「君を見るのは初めてだよ。君はボクたちと同じ仲間なの?」

続けてそう言いました。なぜならこれまで見たこともない姿だったからです。

ひとりぼっちのイモムシはな んと答えて良いかわからずに困ったように黙っていました。


「でもボクたちのように葉っぱを食べているから きっとボクたちの仲間だね。」

すまないと思ったのか助けられたイモムシはそう答えました。

「仲間・・」

一人ぼっちのイモムシは助けたイモムシに仲間だと言われてちょっと嬉しくなりました。


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