僕らのミライレンサ
「で…でぐち、どっちだー!」


身長100センチ未満の自分にとって、このショッピングモールは店数も多く巨大迷路のようだった。いくら進んでも店が立ち並び、小さい歩幅ではあまり進めもしない。
あれ?ここを曲がったような…こっちだったような…。頭上より遥かに高い看板を見ても今の位置がわからない。


”たくちゃん、どっちに行くの”


ふと、そんな懐かしい会話が頭の中で蘇っていた。


「たくちゃん、どっちに行くの!?」

「あぁ?ここを右だろ?」

「違うよ!ひ・だ・り!」


幼い頃、友達の家の近くに駄菓子屋を見つけたことがあった。季恵(きえ)も一緒に遊んで、またお菓子を買いに行こう!というと先頭切って出かけたが、曲がり角の所で季恵(きえ)と口論になったのだ。


「もう。たくちゃんって本当、道覚えられないんだから」

「う、うるせーな!この前来たときは曲がり角に赤い車が停まってたんだよ!!」


俺の記憶力をなめんな!と目くじら立てムキになって言い返したが、帰ってきた言葉は呆れたものだった。


「ばっかじゃないの?動くものを目印にしてどうするのよ!」


ぐうの音も出ないとはこのこと。確かに車なんてずっと停まっているとは限らない。自分がかなりの方向音痴であったことを思い出した。
今だってそう、ショッピングモールの大きさと、人の多さに圧倒され物珍しく見ていただけで場所の把握などしていなかった。


「…かなママさんのいばしょもわからない…」


困り果て頭を抱えていると、後ろから声をかけられた。


「どうしたの?」

「あ、えっと…」


顔を上げると、女の人が腰を屈めて問いかけてくる。


「ママを探しているの?」

「う、うん」

「そっか、迷子になっちゃったんだね」


…迷子だと!!
…なんたる屈辱だろうか。見た目は幼い幼児でも、中身は高校生だというのに人生初の迷子センターで保護者の呼び出し。「すぐお迎えきてくれるから待ってようね」と青い風船をもらい、隣には泣いている同じくらいの幼児がいた。
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