ひまわり




健の目はいつになく真剣で、あたしを捉えて離さない。





「しっかりしろよ……汐莉」

「………」

「もう…お母さんも聖斗さんも……いないんだ」







モウ…イナイノ?

そう思った途端、あたしの目からは涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。




あたし……話してたんだよ……?

一緒にミサンガ作るの手伝ってくれたんだよ……?

あたしに本当のこと、教えてくれたんだよ……?






家族を失った苦しみは図り知れないなんて。

図り知れないどころじゃなくて……もっともっと深いよ。



深くて深くて、消えることのない傷なんだよ。







今すぐには、言うことはできないけれど……。

いつか……あの日、きちんと聖斗をお母さんを見ていて良かったって
思えるようになれたらいいと思うんだ。




なんだ………。
もっと早くに教えてくれてたら、しっかり目に焼き付けたのにな。








涙で潤む世界で見えた、健とお父さんの姿。

そして………



本当のお母さんと聖斗の姿。








あの日夢で見たままの姿のお母さんと、朝日ヶ丘高校の制服を来た聖斗が笑顔で立っていた。

あたしは忘れないようにしっかりと目に焼き付けて、強く目をつぶった。















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