ひまわり

―忘れない夏






「神奈川県立朝日ヶ丘高校
インターハイ全国大会、優勝

おめでとう!」




パチパチパチパチ……


終業式に健はバスケ部代表として、表彰を受けた。

あたしの脳裏には今でも、あの瞬間がくっきりと浮かんでいた。


思い出すと何故か目頭が熱くなってくる。

ほら……また目が熱い…





「これで終業式を終わります」

教頭の言葉を聞くと、みんな弾けたように各々、教室へと戻っていく。


あたしもその列に紛れようとしたら、耳元で声が聞こえた。



「また泣いてんのかよ」

「……んぐっ…健っ」



ばーか、と小さく笑った。

あたしは健ほどバカじゃないよって言い返そうかと思ったけど、今日はやめといてあげる。



あたしなりの小さな優しさ?

まさかだよね
そんなこと言ったらまた健に笑われる……。








「…そういえばさ」

「ん?」

「もう俺らもこれで部活まで引退か…早ぇよな」



確かに。ってつぶやく

もうちょっとしたら夏休みで、そしたら受験だ。




「受験勉強始まる前にあいつらとどっか行こうな?」

「可菜と柊大くん?」

「あいつらとダブルデートでもすっか」




……?!
ダブルデートって……

確かにそりゃそうだけど、改めて言われると恥ずかしいというか…なんというか………。















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