ひまわり



僕の右手の薬指にそれをはめた。

そして……


「ずっと一緒だよ!」


と言って微笑んだ。

とほぼ同時に、僕の腕が汐莉へと伸び抱きしめた。


人気の少ない商店街の真ん中で僕らは小さくキスを交わした。




「……それ、俺の台詞」

「じゃあ…もっと良いこと言ってよ?」

僕の言葉に軽く微笑みを返す。

仕方ないなぁと呟くようにして僕は汐莉をもう一度強く抱きしめなおすと、優しく囁いた。




「俺と結婚してください」






僕の腕の中には、真っ赤になって照れる君がいる。

汐莉の消えそうなくらい小さな声で、だけどハッキリ聞こえた。


「…はい、こちらこそ」








僕は思い出していた。
病院で見せた、汐莉の涙を。

きっと汐莉のことだから、必死で隠そうとしたんだろうけど。

充血した目は何かを物語っているように思えた。




その理由さえ、言おうとしない汐莉に少し切なさを覚えた。

どうしても心が苦しくなるから僕はずっと抱きしめていた。















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