1Rの彼女*番外編*
初恋編
タクが突然聞いてきた。


「結子さんの初恋って、いつなんですか?」



アタシの初恋ねぇ…。

どうしよう。
話す?
話さない?


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


20年前の9月のある日。
この世にひとつの小さな命が誕生した。

アタシはこのとき4歳。

母親に連れられて入った建物。当然漢字なんか読めない。
ただ、建物の雰囲気と消毒薬の匂いで『病院』だということは感じ取れていた。



「ママー、結子ここヤダ〜。ちっくんするの?」

「違うよ、結子。ここはちっくんする病院じゃないよ。赤ちゃんがいる病院なの。」

「赤ちゃん?」

「千明おばちゃんお腹大きかったでしょ?赤ちゃんが生まれたから、おめでとうって言いに来たのよ。」

「見たい!結子も赤ちゃん見たい〜。おめでとうする〜。」
< 20 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop