この想いを君に…

other side

「…久しぶり」

祥太郎はそっと梓とその親友、阿倍野 紀香に声を掛けた。

「……本当に、お久しぶり」

梓は切なげに微笑んだ。

「…元気だった?」

「…うん」

ぎこちない会話が続く。

「柏原くん、久しぶり!」

紀香はその雰囲気を察してわざと明るい声を上げた。

「おお、相変わらずだな」

ようやく、祥太郎も普通に笑えた。

「今日は梓の子供…翔(かける)くんの付き添い。
翔くんね、柏原くんがバイクに乗って走ってる姿に憧れているの」

紀香は後ろに隠れて恥ずかしかっている翔を見下ろした。

「へえ、そんな事もあるんだね」

祥太郎は優しく微笑むと翔は目を輝かせた。

「…ただ、梓は妊娠してるから。
私が梓の代わり」

紀香が笑った。



何となく、そうだろうな、と祥太郎は気が付いていた。

梓はゆったりとしたワンピースを着ているし。

「…俺が、子供を借りていい?
そうすれば阿倍野は梓に一緒にいてやれるだろ?」
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