この想いを君に…
光さんの祥太郎を追う目は。

あたしみたいな憧れでもない。

『そこで一緒に走りたかった』

という、悔しさが滲む。



「あのぅ…」

光さんはその声にハッ、として振り返った。

「サインしてもらってもいいですか?」

光さんは微笑むとファンの要望に応えていた。

「来年こそはその悔しさを晴らしてくださいね!」

ファンの人達もわかっているその気持ち。

「はい!」

光さんは笑って頷いた。



…うん、きっと大丈夫。



光さんは来年、きっとファンもあたし達も裏切らない走りをするはず。



雨は上がり。

レースも終盤。

祥太郎はほぼ独走状態。

今の日本では勝てる人はいないかもしれない。

でも…光さんなら。





祥太郎はぶっちぎりで優勝した。

あたし達の前を通るとき、ずっと手を振っていてくれた。

あたし達も手を振る。

更に最終戦を待たずにシリーズチャンピオンを決めた。
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