この想いを君に…
総一はパタン、と携帯を閉じた。

時刻は1時。

夜明けまではまだ遠い。



…頼むから。

補導されずに帰ってきてくれ。



知樹のどことなく様子を伺う視線が、総一には苦しい。



自分が睦海に厳しく接すれば。

それはそれで筋の通った話だし、間違いではない。

けれど。

今の周りの環境を考えると、良くない。

睦海の親としての姿勢と所属しているチームの指揮官としての決断。

迷う、それに尽きる。



あの世にいる賢司から

『そーはまだまだ甘いな』

そんな声が聞こえてきそうだ。

でも、元はといえば。

自分が睦海に真実を言わない、と決めつけていたが為に起こった事だから。

一番裁かれるべきなのは自分、総一はそう思っている。

祥太郎みたいに小さい時から教えておくのも良かったかもしれない、なんて今更思っても後の祭りだから。
< 93 / 503 >

この作品をシェア

pagetop