そして海の思い出を胸に
「もう大丈夫なのか?」
「うん。もうすっかり、よくなったよ」
私は出来るだけ普通に返事をした。
「それは良かった。で、上着を貰おうかと思ったんだけど、出れるか?」
「あっ、うん。今、持って行く」
そう言って、洗って畳んでおいたジャケットを持って、体育館やプールの方は通らないように、反対側の裏口から外に出た。
日影だった裏口から海の方へ出ると、眩しい日差しに一瞬、クラッ、としてよろけてしまう。