そして海の思い出を胸に
「はぁ……」
深いため息と共に、涼の表情が変わり苦笑いになった。
「話すよ。でも、何処か日影で話そう、ここじゃまた美雪が倒れるかもしれないだろ?」
「……うん。じゃぁ、向こうの松の木の下で……」
そして、私達は松の木に向かって歩き始めた。
海辺を歩きながら、なんとなく涼を見る。
横顔も僚二に似ているなぁ。
不意に涼がこっちを見て、視線が合う。
私は出来るだけさり気無く、進行方向に視線を戻した。