禁断トライアングル
第四章

小さな異変

お兄ちゃんは部活で、まだ帰って来ない。


「つまんなーい……」


ボーっとしていると、いつもはお兄ちゃんのことばかり考える。


なのに今日は、結弥のこと、考えてる。


あの時の、結弥の潤んだ瞳が頭から離れなくて……。


胸が、キュッと締まった感じがした。同時に、ものすごく切ない感じ。


こういうときは、ため息をつくと何とかなる。


「はぁっ……」


ブー……ブー……ブー……


携帯が震えた。後輩の、波月ゆうちゃんからだった。


「もしもし?ゆうちゃん、どうしたの?」


私が出ても、しばらくは、ゆうちゃんの息づかいしか聞こえてこない。


「ゆうちゃん?」


『……キス』


「は?」


やっと話したと思ったら、キスって……。


「キスってどういう」


『結弥君と、キスしたの。私』


……え……?


結弥と、キス?


『私さぁ、先輩から奪うから。結弥君のこと』
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