『短編』思惑〜オモワク〜
「敦子、わたしのこと聡さんに言う?」
「……」
「信じるかしら?」
京香の言う通りだ。
京香は結衣ちゃんの相談相手として完璧だった。
そうやって、聡の信用を築いて来た京香。
今、わたしが聡に京香のことを言っても……聡は信じないだろう。
むしろ、京香を悪く言うことで軽蔑されるかも知れない。
他の人にもそうだ。
『聡の気を引きたいため、京香を悪者にしている』、そう思われるのがオチだ。
「言えない」
敦子は首を振った。
「敦子、やっぱりあなたは頭がいいわ」
満足そうに京香は言う。
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